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1.彼女と海兵王子
もうすぐ彼女と入籍をする。結婚式は来年になってしまった。
というのも、また歳暮れあたりに空母艦任務へ着任するかもしれないと、上官であるミセス准将から打診されているからだった。
そのミセス准将からも既に言い渡されている。『次の航海では、貴方を副艦長として連れていくからそのつもりで』――と。
それは嬉しい任命ではあった。しかし、少しだけ気になることが。それまで自分の先輩として、または元隊長だった橘大佐は連れて行かないのかと聞くと。
『今回はパスさせてあげて。初めてパパになって、新婚で、赤ちゃんも生まれたばかりの時期になるでしょう。パイロットも引退したばかりだし、ゆっくりさせてあげたいの』
とのことで、雅臣も賛成し納得した。
そして雅臣だけではない。そのミセス准将が艦長として就任するということは、妻になる彼女も艦に乗ることになってしまうのだ。
そうなると、結婚式どころではない。まずは職務優先であるために、どうしても先延ばしになってしまった。
それでも、いまできることはと、二人で準備を少しずつ進めているところ。
雅臣の妻になるかわいい彼女は、普段はとても素直そうな女の子の顔なのに、いざとなると男も敵わない腕っ節が強い空手家護衛官。ミセス准将の側に常に控えている女性護衛官だった。
ミセス准将という女性艦長を護るために抜擢された途端、その才能と実力を発揮して、あっという間に中尉まで昇進し、シルバースターの勲章まで獲得してしまう、いまやミセス准将が手放さない秘書官になってしまった。
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