5.シドくん、おまえもかぁ!

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「シド……て呼んでもいいかな」 「あれ。シドって呼ばれたことなかったですっけ」  馴れ馴れしく言いにくかっただけ、だなんて言えなかった。 「ダイナーではなくて、上官の溜まり場であるバーではなくて、どこか飲めるところあるかな」 「ないこともないっすけど。タクシーでいかなくてはならない遠いところですよ。それに、そこ変なオジサン達が集まるんですよ」  変なオジサン? 雅臣が首を傾げると彼が意外なことを呟いた。 「たとえば、御園大佐とか、あと、谷村社長という御園の義理のお兄さんと。あと、たまにエドとか、ジュールおじきとか、喋っているのか喋っていないのか、何しに飲みに来ているのか無言で向きあっているだけで、むっちゃつまんねー集まりって感じのところっすよ。俺はつき合えないですね、あんなところ」  どこが変なオジサン達だ!  御園家を司る主要ボスな男たちばかりの集まりじゃないか。  あのミスターエドまでいるし。  もの凄いメンバーで雅臣はびっくりする。 「そこ、教えてくれるか。今夜は、俺のおごりな」 「なんで、ここで一言妊娠について教えてくれたらいいことじゃないですか」 「やだ。その場所を教えてくれるか、連れていってくれるなら、教える」  もう、わかりましたよ――と、シドがふて腐れながら了承してくれた。 「城戸サンひとりで乗り込んだら気の毒な場所だから、連れていきますよ。もう。後悔しないでくださいよ」 「だったら、なんでそこで飲めるだなんて俺に教えたんだよ。他にないんだろ」
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