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それでも、普段はほんとうにかわいい。わたし、臣さんのように大人の経験がないから、ぜんぜんわからないという顔をして、無垢な子猫のような顔をする。本人がまたそれを自覚していなくて、彼女そのままの姿だから余計にかわいい。
「雅臣、帰るぞ」
「イエッサー、室長」
陸部訓練棟で、雷神入隊希望のパイロット達の体力テストを行い、その審査を終えて橘大佐と事務室へ帰るところ。
「どうだ、雅臣。いいと思ったヤツいたか」
「うーん、どのパイロットも優秀ではあるけれど、雷神にどうだと言われると、正直ピンと来なかったですね」
「俺もだ。惜しいな。どこにだしてもいいぐらいのパイロット達なんだが。おかしいな。俺の感覚、葉月ちゃんぽくなっちゃったのかな。優秀であっても、無味無臭で無個性に見えちゃうんだよなあ? 刺激がなくてもチームのパイロットの個性とバランスを考えて多少のばらつきがあってもスワローでは選べていたのになあ……」
「わかる気がします。雷神のパイロットはクールな優等生の顔をしていても、こう、なんていうか、ひとつのラインを越えたうえでのなにかがあるメンバーばかりですもんね。葉月さん、良く見つけたなあ……て感心しています」
「俺もだよ。雷神を再興させると彼女が言い出した頃、彼女は足を使ってほとんどの基地をまわって探していたっていうもんな。その中でも演習飛行を一目みたらすぐわかるんだってさ。どんな目だよ。あの女、昔からなんか変な力見せつけてくれるんだよな」
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