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彼女が見ているからと自分に嫉妬して、情けなく思って。
やっと過去と決別できて。
彼女がいまの俺が好きと言えば、それだけで気が済むなんて。
「本当にバカだ」
そう言いながら、雅臣は和室に『栄光』であった横須賀マリンスワロー時代のソニックが写るポスターを一人で貼り替える。
『臣さん、遅刻するよー』
玄関で支度をすませた彼女の声がする。
「いま行く」
そう声をかけ、和室のふすまを開けこの部屋を出て行く。
静かにふすまを閉める。
栄光の色と影を目の端に残して。
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