8.男の気持ち、だし巻き卵

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8.男の気持ち、だし巻き卵

 くしゃくしゃの制服姿のまま、覚悟を決めて心優がいるリビングへと雅臣は顔を出す。  テーブルにはすぐに食事ができる準備が整っていた。しかも三人分。  テーブルには心優がいなかったので、キッチンを覗いた。制服の上にエプロンをした心優が緑茶を入れているところだった。 「心優、ごめんな」  情けない小声でいうと、キッチンにいる心優がこちらを見た。 「いいけれど。男のおつきあいもあるでしょうから。父も兄も体育会系、ガッツリ呑んで大騒ぎで帰ってくるなんて、よく見てきたから大丈夫だよ。ただ……」  ただ……、だよな。そこが気になるよな? 雅臣も覚悟を決める。 「御園大佐とか御園関係の男達が行く飲み屋があるって聞いて。そこがどうしても気になって、シドなら知っているだろうと聞いてつれていってもらったんだよ」 「御園の男性達がいく飲み屋? そんなところがあるの」  心優も初耳のようで驚いた顔を見せた。 「御園准将がいくショットバーではないの」 「全然違うところ。男の隠れ家みたいなところ。いや、屋台だった」  屋台! 食べるの大好きな心優も目を輝かせた。 「すごくうまかった。そこの大将が心優も連れてこいって言っていたから、今度一緒に行こうな」 「ほんとに? 楽しみ」  心優から抱きついてきたので、雅臣もほっとした。それでも心優は雅臣の胸に抱きつくと、すぐに不安そうな顔になった。まだ安心できなくて、雅臣も構える。  どこか聞きづらそうにして何かを言おうとしているのに閉じてしまう彼女のくちびる。そんな顔をされると雅臣も申し訳ない気持ちが湧き上がってくる。
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