7.男同士、酔っ払った結果……(・_・)

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7.男同士、酔っ払った結果……(・_・)

 親友が起こした事故で、エースと言われた自分がコックピットを追われた。 同時に、空を飛べる後輩達への羨望も、前に行きたいのに拒絶する精神と身体。あげくに、横須賀に帰れと突き放されたミセス准将への暴言。過去の自分を思い出すと居たたまれなくなる。 「俺にもおかわり頂けますか」  空になったコップ酒をカウンターの大将へと差し出す。 「いいんだよ。それがあって。ようやくここに戻ってこられたんだろう。頑張ったんだろ」  雅臣のコップにも溢れそうなほどに、日本酒を注いでくれる。雅臣も、今夜はなんだか変な気分になってきた。嫌な気分ではなくて……、こう溜め込んでいたものが、いまここで飛び出していく予感のような、奇妙な気分。  ああ、これかあ。それで御園大佐はここにくるのか、よーくわかった。しかも、なんだかんだいって、航空隊の大佐殿達も通っているじゃないか。しかも、葉月さんまで。  御園の男がよく足を向けるのだろうが、そうではない。御園の溜まり場というわけではなくて、あの人達の『軍人ではない兄貴』がここにいるから来るんだ。  これじゃあ。まだまだ青年まっさかりの子猫王子は、大将の手のひらに乗せられてぐだぐだするはずだ……と、雅臣はすでに目が据わっているシドを見る。 「おい、トラ猫。まだ子供はいらないって彼女と話し合っているから、遠慮せずに思いっきり訓練の相手をしてやってくれよ」  雅臣もコップ酒を一気呑み。あおって、シドの背中をバシリと叩いた。 「ああ、くっそ! 心優のカラダに、俺の好きなバニラアイスをのっけて舐めてみたかったなー」
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