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あの柴犬っぽい見た目の生き物は、名前を“コアラ”と言うらしい。犬なのに何でコアラって名前なんだややこしすぎるだろ、とキバルは思う。何でも、彼が元々いる惑星では“コアラ”というのは“祝福の妖精”を表す名前であるというのだ。地球の、ただのんびりハッパ食べてるばっかりのお気楽な生き物と一緒にしないでほしい!と彼はぶんぶんシッポを振りながら言った。まあ一緒にはならないだろう、見た目はどう解釈しても柴犬、それも一歳未満の子犬にしか見えないのだから。もふもふ好きとしてはちょっとキュンと来る外見ではある。言ってることはめちゃくちゃだけれど。
そう、コアラは、いわゆる異星人というやつであるらしいのだ。ナントカっていうやったらめったら長い名前の惑星(長すぎて覚えられなかった)からやってきた異星人であり、実は地球人が認識していないだけでしょっちゅうこの惑星に降り立って調査をしていたのだという。コアラを始め、彼らの惑星の住人はみんなこの惑星の何かしらの動物に酷似した外見をしている。そのため、こっそりもぐりこんで調査をするのには非常に適しているらしかった。
ちなみに、具体的にどんな仲間がいるのかと尋ねてみると。
『サルって名前の小鳥とか、ブタって名前の鼻の長い灰色の巨体の仲間とかがいるよ!』
『それ本当に偶然名前が被ってるだけか?ややこしいし悪質すぎね……?』
こんな具合である。特にブタって名前の象の姿の生き物って、いろんな意味で気の毒すぎやしないだろうか。本当にわざとじゃないのか?とツッコミたくもなろうというものだ。
で、そのコアラ達が地球を重点的に調査している最大の理由は。この地球の環境が、全宇宙の中でも生命が発展しやすい環境を備えており、多くの異星人たちが欲しがるような資源をたくさん備えているからだというのだ。彼らの惑星は、他の惑星の住人達がむやみやたらに異星侵略をしないよう監視する役目をも担っているらしい。地球を狙った悪い異星人が来訪していないかどうか、侵略行動を開始していないかどうか。それを常に確認して回っていたというのだ。
そして、その結果判明したのが――惑星国家“ドロイド・ボーン”の連中が、地球侵略の準備を始めているという情報である。
地球を守り、ひいては宇宙の平穏を守るため、コアラ達は行動を開始したのだそうだ。惑星間条約を破って侵略行動をする異星人が出た場合、コアラ達が狙われた惑星の住人に力を貸して、自衛するだけの能力を与えるのが規則となっているらしい。
で、その力というのが。いわゆる地球で“魔法少女”に該当するものだというのだ。
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