詩人極光になる刹那

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詩人とは恍惚を覚え、死ぬことを覚え、恥ずかしさを覚え、酔いどれる存在だ。いきるに値する人生なぞ知らぬ、私はひたむきに筆を取り、無限の運動を覚えている。私は天界にいたころ、ケルビムと一緒にいて、詩を書いていた。六翼をなびかせ、地上をかけ、空をかけ、無常の世界に一つの光を投じた。噫、私を買い殺した天使よ、お前は純系の悪魔を嫌う。 物質が存在をやめるころ、世界が終わり、運動が終わり、時間が終わり、果てしない永遠の想念を頭の中に思い浮かべ、噫、私は君主となりたい。この分裂症のような文章に辟易した詩人は私を乗り越え、実存を始め、産声をあげる。 私が描いたグラフィティが何かを意味するのなら、純文学が死滅するまで、人間に酒を注ぐ神だということ。この散文的伽藍の中で息をしてみろ。息をしてみろ。メルトダウンするまで息をしてみろ。私は詩人であり王者であり、愚者なのだ。それが詩人だ。私を求める女性が手のひらからこぼれていってしまう。私はそのころ、存在をやめている。
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