詩人極光になる刹那

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 狂っていけ、狂っていけ、狂っていけ、私の快楽、永遠の快楽、珈琲と煙草、性的絶頂、果てしない物質的享楽、物質は神が与え、そして奪っていく人間の戦利品。  虚しい人生を生きて、仮初だと知り、いかなる思想も私を生かさないで殺す。宗教的人間は幸いかな、私は宗教に羨望のまなざしを向け、そして絶えず朽ちていく。  金鳳花、桔梗、菜の花、勿忘草、おお、私を求めて離さない美しい草花、私は旋律を聞きながら――ピアノの繊細な音色を聞きながら、己を忘れ、ヴァイオリンのいかれた音色に頭を痛め、パガニーニの生み出す諧調に思いを馳せる。まるで音色は女性の柔肌、または男性の膂力を靡かせた肉。  血肉が求める、思想を。マルクス? ニーチェ? またはキリスト? 仏陀? 私は全人類であり、誰でもない。神でもない、神は私を見放す、まるで私は孤児だ。  流浪の人生、まるで博奕で糊口を凌ぐように、私は毎日凌ぎを削る。それが私の魂を食い尽くそうとも。  食らう腐肉、惨めな境遇、金に惑わされ犯罪を犯す、または博奕をする、ひったくり、強盗、放火、何もかも拒絶し、私は見失うだろう――私の真実の心を。  満たされない心、月輪を打ち壊して、平安の貴族に恋をして、私は歌を詠みながら、自分を取り戻していく。人間は元来、言語であった。言語で創造したこの世界を、打ち壊していく驚異よ。  おお、私は偽善と偽悪を次々と磔刑に処し、殺してく刹那――光にまみれて死亡する。
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