詩人極光になる刹那

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 おお、耐えし日々の載積が私に乗りかかり、重圧していく。徐々に真空に酒を注いでいって、ポエジーが光り、闇をかき消し、古の孤高の詩人たちが幾世紀にわたって読み継がれ、私にやってくる。  ランボーがフランスの遺産になり、フランス語で私に訴える、俺はいる、と。ランボー的生活に憧れ、苦しみ、私は星辰の動きとともに運動し、明滅する天体のはかない照射にやられ、目を失った。その時私は、精神的治癒を求め、老若男女のしもべとなり、権力を敵にして、こじきをしているだろう。私は盲目で、びっこひきの天使。生まれかわってある女に会いに来たが、見当たらない。歌を詠めど、虚無が私を苛み、苦しめ、狂った血潮を滾らせ、増殖していく……。  見当たらない、見たらない、見たらない、私の真理が、普遍的な真理が。耐え忍び、罵声を浴び、ごろつきに殴られ、地を這いつくばり、窓ガラスをがりがりと爪でかいて、苦悶している。私が神の苦悩を知るとき、私は閃光の春の修羅と化していく。
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