詩人極光になる刹那

7/9
前へ
/9ページ
次へ
私の肉体が滅びていく。朽ちていく、その切なきこと、私は艶やかなる光沢を磨き、太陽を磨き、月を磨き、宇宙を磨く。  繊細な天使が私の武装を取り壊し、落とし、私を天使の世界に誘う。  まことに綺麗な世界よ、私は精神を離脱させて宇宙をさまよう。恐ろしい龍、獅子、猿猴よ、私の罪悪を食え。私はたたき殺したくなる欲望を抑える――神を、神を噛み殺したくなる。精神は極光に晒され、怪物は海に沈没していき、そこではセイレーンが切ない宴を広げている。噫、狂ったあの人は私を忘れ、物質的享楽にしか目がいっていない。精神世界こそ、まことに美しい神の国の門。私を噛み殺してくれないか? 神よ。  私のポエジーの領域にロシア女が入り込み、恋をし、そこで銃殺される。死に際に私を見つめ、血を流し、肉体が溶解する。神のまなじりによって、永劫の神のまなじりによって。  私は存在をやめるまで、一光年を過ごす、あらゆる輪廻転生を繰り返し、滂沱の涙を流し、そして死に絶えるだろう……。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加