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 商店街で買い物したら、福引券がついてきた。 他に買うものもなかったし、補助券だけ持っててもしょうがない。  俺は後ろに並んでいた小学生くらいの男の子に補助券をやった。 「まぁ、ありがとうございます」 男の子の祖母とおぼしき品のいい小柄な婆さんがニコニコしながら俺の手になにか握らせてきた。 「えっ?」  断る隙も与えない見事なフットワークで、婆さんと孫は去っていく。  俺の手の中にはドングリサイズの小さな種が1つ。  捨てるのも忍びなくて、俺はその種を家に持ち帰った。
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