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4
会合の翌日、弟子が花の魔女に、とあることを願い出た。
「私の魔法が見たい、ですか?」
「はい。昨日の会合で先生の魔法は、その」
――先生は、ただお茶を淹れただけ。しかも他の魔女に手伝ってもらって。
「なるほど、私の魔法だけすごくなかったと」
「そ、そういうわけじゃ」
「いいんですよ――わかりました」
わずかな間、何かを考えてから、花の魔女が傍らの棚へ手を伸ばした。棚には花の種が詰まった瓶が所狭しと並んでいる。
「それでは、少しだけ見せましょう」
花の種を一粒だけ手に取ると、花の魔女は弟子を連れて庭に出た。
花の魔女が庭の片隅にしゃがみ込み、指先で浅く土を掘り、種を植え、掘り出した土をそっと被せた。
「では、よく見ていてください」
弟子に告げて、種を植えた場所へ両手をかざす。
少しして――ちょこんと、小さな芽が顔を出した。
するりと伸びて、双葉に分かれた。
ぐんぐんと伸びて、幾枚もの葉が広がった
てっぺんに白いつぼみがひとつ生まれ、どんどん膨らみ――花がぽっと咲いた。
「これが、私の本当の魔法です」
花の魔女が立ち上がり、誇らしげに胸を張る。
「これが、ですか」
言葉に詰まりながら答える弟子。その顔には、明らかな戸惑いの色が浮かんでいる。
「はい。花の魔女たる所以です」
にもかかわらず、満面の笑みを弟子に向けて、花の魔女が答えた。
一輪の花を咲かせただけで胸を張る花の魔女に――弟子は何も言えなかった。
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