依頼

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「な……琳寧が……。貴方は一体……」  香苗の言葉には返答なく、ナナシはまた懐からカッターナイフを取り出した。そして、今度は左の手首を深く切った。  傷口からは赤黒い血が溢れ出てきた。 「さぁ、復讐の時です」  ナナシの手首から流れ出ている血が1つに集まり、大きな鎌へと形を作った。 「な……なにそれ……なんで!?」  香苗は体が震えてその場から立ち上がれないようだ。翔も同様でその場から崩れ落ちた。 「その質問は私が答えるべき質問ではありません。では、さようなら」 「ま……待って!!!!」  ────ザシュッ   琳寧がナナシを止めるように手を伸ばした時、香苗の体がある真上から赤い雨が降り注いだ。  香苗の頭がいつの間にか地面に転がっており、首から下は先程と同じで、座ったままだった。  首から噴水のように血が溢れ出て止まらない。  ナナシは、今まで見えていなかった赤い瞳が、黒い前髪から覗かせてた。その目は狂気が感じられるほどに鋭く、目の前の光景を見て楽しんでいるようにも見える。 「さて。これで貴方は満足ですか?」
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