第一話

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第一話

 ピピピピッ。 俺のお気に入りの置き時計を置いて、あたりを見渡す。 最近、兵庫から東京の大学に通うために、埼玉に引っ越してきた。 前までは家族が多くて、ぎゅうぎゅう詰めだった家。だけど、今は一人ぼっち。 「文也、このお弁当を持っていきー。」 「はいはい、わかっとるけん。」 「あと、拓哉を保育園に連れてって欲しいんやけど。」 「それもやるから、べっちょないって。」 そんな会話が1日目から懐かしい。 朝から真っ白な白米とお好み焼きや明石焼きだった家の食卓も、今はコンビニで買ってきたサラダとおにぎりだけになってしまった。
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