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そうして、いつものように。
しゅるりと、あたしの胸元のリボンを解いていく。
単なるそこまで仲の良くない幼馴染だと思っていたこいつ。
そんな奴とこんな関係になったのは、いつからだったか。
正確な日付は覚えていない。
「何考えてんの。」
淡々としたその声があたしに降り注がれる。
でも、その手は止まる事なく。
どんどんとあたしの肌は外気に触れていく。
服の下に隠れていたものが、晒される。
「っ、ぅぁ、!」
真新しい、その跡を遠慮なくこいつはぐりっと指で押し込んだ。
「また増えてんだけど。何勝手な事してんの。」
「いっ、!」
顔を顰めながら、痛みに耐える。
二の腕に刻まれたその傷が、じわりと開いた。
「俺との契約、忘れた訳じゃないでしょ。」
その冷淡な物言いに、あたしは乾いた笑いを溢してしまう。
「はっ。なら、早くして、早く殺してよ。」
「ひとりで死ぬ勇気もないくせに、そんな口聞いて良いと思ってんの?」
そう言われたら、黙るしかない。
だって、その通りだから。
だから、こいつと契約を結んだんだ。
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