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「だって、もう可能性としてはそれくらいしかなくね?」
眼鏡とったら美少女系ってやつ、とつけたす。
「美少女系、ねぇ……。」
やる気なさそうに倖が呟いた。
「ダメ元でとってみれば?眼鏡。簡単じゃん。」
「簡単か?眼鏡外してみ、って言って拒否られたらどうすんだよ。」
「拒否らねーよ、そんなこと。だいたいお前に、眼鏡外してみて、って言われたら、大概の女は即外すぞ。」
大概の女というカテゴリに入るのか?あれが。
と思ったのが露骨に顔に出ていたのか、ムッとした表情で柴田が畳みかけてくる。
「どうせ打つ手ないんだし、やってみって。嫌がられてもいいじゃん。無理やりとっちまえば。」
「……無理やり取って彼女だった場合、そこで嫌われて俺終わりじゃない?」
「面倒くせーなーもー。無理やれヤレっつってるわけでもねーのに。」
「……だなぁ。可能性はかぎりなくゼロに近くても、他に手はないよなぁ。」
そうそう、と柴田が頷く。
正直、少し疲れてきてもいる。
手詰まりになったってことは、やはり彼女とは縁がなかったということなのだろう。このまま諦めるか、また偶然の再会に期待するか。
それとも。
一縷の望みを託して、りんの素顔を拝見してみるか。
おさげが消えた方の道路に目をやりながら、倖はもんもんと1人考え込んでいた。
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