7 帰国

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7 帰国

日本へ帰国した後はたんまり仕事が待っていた。 例の取引先の社長の退任に関することも、他のことも、色々山積していた。 元来仕事をすることは苦ではない。 自分の起こした事業なのだからそれは問題ではなかった。 しかも今は失恋のことなんか完全に吹っ切れていたし、ジョーとの半月が私をリフレッシュさせていた。 半年ほどした時、一つの会社から事業提携の話をもらった。 その会社はまだ立ち上がって半年弱のベンチャー企業だったが、事業計画案をみるととても魅力的に感じた。 色々リサーチをして結論として事業提携をすることが決まった。 先方の社長と会食が決まった。 私は都内のホテルのレストランへ赴いた。 その事業を担当する部長を同伴させる。 先方も同じように担当者を一人連れてくるとの事だった。 担当者間での話はもうだいぶ進んでいた。 だから後は社長同士の顔合わせという算段になっていた。 レストランに入り席に案内された時、私は驚いていた。 そこに待っていたのは、あのジョーだったのだ。 「初めまして。この度は事業提携ありがとうございます」 そうしれっと言ってくる。 そこからは一通りの一般的な会話をする。 お開きになる直前、化粧室にたった時メモを渡された。 ”今日このホテルの1503号室に泊まってる。待ってます。ジョー” そう書いてある。 私は自分の心に聞いてみる。 "どうしたいの?ナツ?"
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