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9 1503号室
会食は21時にお開きとなった。
帰り際ホテルの部屋の番号を書いたメモをナツに渡した。
淡い期待のまま待つ。
1時間が過ぎる。
2時間が過ぎる。
やっぱり旅先の男止まりだったかと内心弱気になってきた。
3時間がたった深夜24時。
部屋をノックする音がする。
ドアを開ける。
そこにはさっきのスーツ姿からラフな格好に着替え、あの時にプレゼントしたダイヤのネックレスを身に着けたナツが立っていた。
「ジョー酷いよ。忘れようとしてたのに・・・」
そう言って立ちすくんでいる。
「ナツ、ごめん。どうしてもナツとの縁は切りたくなかったんだ」
俺はナツの手を引いて彼女の体を抱きしめる。
「ずるい・・・」
「ずるい?」
「そんなこと言われたら、もう振り解けない」
「もう手放さないつもり」
俺はナツに口づけをする。そこからはあの時の二人に戻っていた。
朝、裸のまま同じベッドで目が覚める。
腕の中のナツはあのタイとシンガポールで過ごしたナツだった。
「ナツ、俺と付き合って」
「本当に私でいいの?」
「ああ、ナツがいい」
「私もジョーがいい」
そう言ってまた抱き合った。
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