第一話

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突然、先輩の右手首がぽきっと折れたのだ。 僕は驚いて先輩を見た。それから先輩を折れた手首を見る。折れた手首の断面は世間一般で言う水色で、割れた場所に光が当たって反射しきらきら輝いている。 多分さっき品出し中になんかぶつかったんだと思うんだよねーでも今まで段ボールで割れたことなかったしーそんな脆くなかったと思うんだけどなーなぜか手首だけ折れやすいんだよねー、どうでもよさそうに先輩は言った。もう先輩は自分の身体が割れることに慣れているのだ。雑に手首をくっつける先輩を横目で見る。きらきらと宝石の細かい欠片が落ちていく。 「欠片」 「え?」 「細かい欠片とかはどうするんですか、砕けちゃったやつとか」 僕の聞き方は、先輩にとって珍しいものだったのだろう。先輩は目を一瞬丸めた。 「いや、欠片はもういいの、めんどくさいから」 そして先輩はいつもの笑顔を浮かべる。それを見て僕は不安になった。 「まあ、ほっといちゃうから折れやすいんだけどさ」 「分かってんじゃないすか原因‼」 「ははは!!」 「いや笑う所じゃないんすよ」 笑う先輩を僕は睨む。先輩は小さく笑った。 「まぁそれはいいって。とりあえず掃除しようぜ、ついでに店内もモップかけちゃうか。一石二鳥ってやつよ………宝石だけにー!!」 先輩はそう言ってはははと笑う。僕はため息を1つ吐き、自分と先輩分のモップを2本取って、店内の清掃を始めたのだった。
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