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貧民街
ボリスは貧民街で聞き込みを始めた、だが話に聞いただけで何の特徴も知らない母娘を探し出すのは不可能に近かった。
あきらめかけた時、ついうっかり公爵家の名前を出してしまった。するとあの梅毒が頭に回って気が変になって自分の娘は公爵家の令嬢だ言い出した売春婦なんじゃないか?最近見ないから部屋でおっ死んだかもなと言い出した。
ボリスはお金を払い案内してもらうと既に通りに異臭が立ち込めていた。やはり死んでるみたいだなと言うと男は去ろうとした。
近所に呼び掛けて片付けないのか聞くと、金にならない事はしない。ほっときゃ大家が片付けるんだろと言い、去っていった。
ボリスは思いきってドアを開けてみた。
中からはハエの大群が飛び立ち。耐えがたい異臭が周囲に立ち込め。周囲の家々から住民が咳き込みながら顔を出し、飯の最中に勘弁してくれよとか、やってる最中にするか!?と怒っていた。
空気が入れ替わり、おもいっきり我慢すれば中に入れそうになるとボリスは入ってみた。
ベッドの上にウジ虫に集られドロドロになった、かつて肉だったものがあり、ボロボロの服の間から白骨が飛び出していた。
隣には3歳ぐらいの見た目の女の子だった何かがいた。
ボリスは考えた。もうコイツの子供の時代は終わって人間だった時代も終わったんだろう。
王国に災いをもたらすらしい化け物をどうしよう?
持ち帰れば虜にされて操られる事になるだろうし、このまま見捨てて帰っても、今扉を開けてしまった事で死ぬ運命は変わってしまったのかもしれない。
どうやら余計な事をしてしまったようだ。
ボリスは買っておいたパンと牛乳を少女に与えた。少女は一心不乱に食べ始めた。
ボリスは少女に話しかけた。「もし、オマエが王国を滅ぼすとして、今の事を覚えていてくれたら俺だけでも見逃してくれよ」そう言うとボリスは立ち去ろうとした。
しかし少女はボリスの服の端を握ると離そうとしなかった。
「やれやれ。まあどうせ、ロクな人生じゃないんだから、20年でオマエがどんな方法でのし上がり王国を滅ぼすのか見届けるのも一興かもな」
そう言うとボリスは死臭まみれの女の子の姿をしたなにかを連れて家に帰った。
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