31人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
サチの言葉にスズは動きを止めて目を見開いた。
「ここで……?」
「そうだよ。変な事言わないか気になるじゃん。ねぇ、みんな?」
サチの言葉にクラスメートたちはヤジを飛ばすように賛同した。
高校生作家という夢のような肩書を持っているスズが相手だから、その転落を見て見たいと願う生徒も多いのかもしれない。
「ほら、出なよ。みんなにも聞こえるようにスピーカーにしてね」
「そんなことできるワケないでしょ? 仕事なんだよ!?」
「だからこそでしょ? あたしたちはスズの本当のことが知りたいの。スズが潔白だってわかれば、ちゃんと作品を楽しんで読むことができる」
サチの言葉に思わず笑ってしまいそうになった。
サチは誰が書いた小説だろうと読まない。
活字が死ぬほど苦手なのだと、以前言っていた。
「こんな時間に電話してくるってことは、相当急いでるんじゃない?」
今はまだ7時台だ。
学生作家のスズに電話をする時間じゃないことは、担当さんだって理解しているはずだった。
「それはそうだけど……」
最初のコメントを投稿しよう!