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その様子を見てあたしとサチは目配せをした。
スズの大切なメモ用は切り刻んで、机の奥の方へ押し込めておいたのだ。
「どうしたのスズ? 探し物?」
サチがわざとらしくそう言って近づいて行く。
「メモ帳がないの。サチ、知らない?」
「メモ帳? なんのこと?」
サチがそう答えた時、スズの顔色が変わった。
机の中にあったもをすべて取り出し、奥へと手を伸ばす。
「なんで!?」
紙くずになってしまったメモ帳を引っ張り出したスズは、悲鳴のような声を開けた。
「どうして!? 誰がこんなことを!!」
叫びながら机を斜めにし、メモ帳のカスをすべて取り出すスズ。
それは必死の形相で、今にも笑い出してしまいそうになった。
「どうしたのスズ。そんなにゴミを散らかしちゃダメじゃん」
サチはそう言い、床に落ちたメモのカスをまとめてゴミ箱へ入れた。
「なにすんの!!」
途端にスズが叫び、サチに体当たりをして止めた。
サチは大げさに悲鳴を上げて倒れ込む。
「スズ、なにしてんの!?」
「最低」
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