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デビューが消えてしまったことがよほどショックだったのか、今まで気が付かなかったみたいだ。
「スズが悪いんだよ? 作家になれたからって、偉そうな顔してるから」
サチがそう言い、スズの背中を押した。
スズが前のめりにつんのめってこけそうになりながら、どうにかその場に踏ん張っている。
「待ってよ。あたしたち友達じゃん!」
そう言いながらも、ウサギ小屋があった場所を見ないようにしているのがわかった。
「友達? そうだね、あんたがマキを殺したのに、あたしたち手伝わされたよね」
「それはっ……」
「あれはひどかったよね。死体を運んだんだもん」
あたしはサチの言葉に同意して言った。
「でも、結局カオリさんはちゃんと引き取ってくれたじゃん!」
「そうだよ。だからさぁ、このヒドイ友達のことを引き取ってくれないかなって、思ったんでしょ!?」
サチはそう言い、スズの腕を引っ張ってウサギ小屋の辺りまで移動する。
「あ……あぁっ……!」
途端にスズは青ざめて目を見開いた。
何もない空間を見つめてイヤイヤと左右に首を振っている。
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