落下

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明らかにウサキ小屋が見えている様子だ。 あたしとサチは目を見交わせて笑った。 これでサチの願いは叶うはずだ。 「やだ……あたしは死にたくなんか……」 そう言いながらもスズの顔からスッと表情が消えて行く。 それはすべてに絶望し、目の前の死しか見えていない人間の顔だった。 今までここで何人も見て来たから、すぐにわかった。 スズは引き寄せられるように小屋の中へ入り、見えないロープに手を伸ばす。 「思った以上に弱いよね、あたしたちの友達」 サチが、ロープに吊るされたスズを眺めながらそう言った。 「そうだねぇ。一番あっけなかったんじゃない?」 スズがあたしとサチへ向けて手を伸ばす。 しかし、あたしたちは笑みを浮かべてその光景を見つめていた。 苦しくて意識もなくなってしまいそうな中、スズは大粒の涙をこぼし、そしてあたしたちへ向けていた手をダラリと垂らしたのだった。 その、直後。 どこかの教室の窓が割れる音が聞こえてきて、グラウンドから悲鳴があがった。 「落ちたね」 サチが小さな声で呟く。 「うん」
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