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首を傾げてそう聞くと、サチは窓からグランドを見下ろした。
グラウンドでは、相変わらずユウジがサッカーの練習をしている。
プロ入りがほぼ確定だと言われているユウジの練習は、日に日に過酷になっているようだった。
「最近、ユウジと遊べてないんじゃない?」
「あぁ……でもそれは仕方ないよ。メールや電話はしてるし」
「それって付き合ってるっていえる?」
「え?」
「下手したら別れられるんじゃない?」
「怖い事言うのやめてよ」
あたしは顔をしかめてサチの背中を叩いた。
「でもさ、スズだって途中で願いが消えたんだよ? 可能性はあると思わない?」
そう言われれば、気になって来る。
カオリさんの呪いを上手に使わなければ、スズのように夢を壊す結果になってしまうのだ。
あたしはグラウンドを走り回るユウジに視線を向けた。
教室からじゃ、ユウジはあたしに気がついてもくれない。
「ちゃんと、ユウジと話してみるよ」
あたしはサチへそう言ったのだった。
☆☆☆
その日の夜、あたしは自分からユウジに電話をかけた。
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