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3回コールの後ユウジの声が聞こえて来た。
『もしもし?』
「ユウジ、今電話大丈夫?」
電話やメッセージの途中でも、ユウジに用事が出来て途切れてしまうことが多くて、あたしはまずそう訊ねた。
『大丈夫だよ。最近あんまり構ってやれなくてごめんな』
その言葉にあたしは自分の頬がニヤけて行くのを感じた。
心配しなくても、ユウジはちゃんとあたしのことを考えてくれているみたいだ。
「気にしないで……あ、でも……」
ユウジの邪魔になりたくなくてつい『気にしないで』と言ってしまうけれど、これではダメなのだ。
ユウジにとってただの都合のいい女になってしまう。
『どうした?』
「あのさ、今度の休みは会えないかな? あたしたち、あまりデートとかしたことないじゃん?」
休日と言いってもユウジには練習が待っている。
会うためには、あたしが練習場へ行くしかないのだ。
『ごめん。次も練習が入ってるんだ』
ユウジの申し訳なさそうな声に、一瞬胸が痛む。
ユウジを困らせたくない。
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