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でも、このままじゃカオリさんの呪いが解けてしまうかもしれない。
「少しでいいから、会えないかな?」
『……ごめん』
あたしは下唇をかみしめた。
今はユウジにとって大切な時期だ。
試合後だって自主練があるし、反省会もある。
あたしに構っている時間がないのはわかっていた。
でも……。
「それって、付き合ってるって言える?」
つい、そんなことを言ってしまった。
いつ願いが消えてしまうかわからない。
そんな焦りがあったんだと思う。
『なんだよ。アキコはそんなこと言う子じゃなかっただろ?』
ユウジの口調が、少し険しくなるのがわかった。
「我慢してたからだよ」
『だったらもう少し我慢してくれよ。俺が今忙しいのはわかってるんだろ?』
突っぱねるような言い方に、胸の奥がムカムカしてくる。
あたしはユウジの彼女なのに、どうしてそんな言い方をされないといけないんだろう。
「もう、いい」
あたしは低い声でそう言い、ユウジとの電話を切ってしまったのだった。
☆☆☆
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