危険

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歩道を塞がれたあたしは思わず立ち止まり、その車を呆然として眺めていた。 こんな所に車を止めて一体なんだろう? その時だった。 不意に後部座席のドアが開いて1人の男が現れた。 男は躊躇することなく、あたしの腕を掴み、車の中へと引き込もうとする。 「いっ……いやっ!」 突然のことでまともな悲鳴を上げることもできなかった。 しかし、幸いにも男の力はそれほど強くなくて、あたしは体の重心を下げる事で引きずられることを回避できていた。 車通りも多く、モタつくのが嫌だったのだろう。 男はすぐに諦めて車に乗り込み、走り去って行ってしまったのだ。 「なに、今の……」 車が走り去った後も、恐怖で足がすくみ、その場から動く事が出来なかったのだった。 ☆☆☆ あたしは誰かに狙われている。 コンビニまでの行き帰りの出来事を考えると偶然だとは思えなかった。 だけど、男たちに見覚えはなかったし、心当たりだってなかった。 自室に閉じこもって小さくなっていると、先ほどの恐怖が何度も繰り返し襲い掛かってきて、体が勝手に震えた。
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