31人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
もし、歩道橋の上から転落していたら？
もし、あの車に乗せられていたら？
考えただけで体中が冷たくなる。
「そうだ……秋口たちに連絡……」
ふと思いついて、そう呟いた。
相手は誰だかわからないし、複数の男たちだ。
あたし１人で太刀打ちできる相手じゃない。
こういうときこそ、秋口たちが頼りになった。
あたしはすぐにスマホを取り出して、秋口に電話を入れた。
仕事をしている最中なら電源を落としているけれど、今回はコール音が聞こえて来た。
『おぉ、どうした？』
いつもの秋口の野太い声にこれほど安堵した経験は今まで１度もない。
「秋口？ ちょっと調べて欲しい事があるの」
あたしはそう言い、必死に覚えて帰った車のナンバーを伝えたのだった。
最初のコメントを投稿しよう！