切断

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切断

その夜はろくに眠ることができなかった。 人に命を狙われているかもしれないと考えると、眠気なんてどこかに飛んで行ってしまっていた。 でも、それがよかったのだ。 夜中の3時頃かかってきた秋口からの電話に、すぐ出る事ができたから。 「もしもし?」 一階で眠っている両親に気を使い、小さな声で電話に出た。 『おう、起きてたか』 「命を狙われたんだから、眠れるワケないでしょ」 『お前、そんなにひ弱だったか?』 秋口はそう言って笑っている。 「笑い事じゃないでしょ。なにかわかった?」 『あぁ。車の持ち主は隣県のヤンキーたちだった。誰かに頼まれて今こっちに出て来てるみたいだな』 「頼まれたってなにを? まさか、あたしを殺す事とか言わないでよ?」 『可能性は高い。こっちに出てきて真っ先にお前を襲いにかかってるからな』 「そんな……」 秋口の言葉に一瞬にして血の気が引いてくる。 『でも、お前なら心当たりがあるんじゃないか?』 「心当たりなんてなにも……」 そこまで言ってあたしは口を閉じた。
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