最後の願い

3/4

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
サチが死んだと言う連絡はその日の内に来た。 放課後、1人で学校近くのパン屋さんで買い物をしていたところ、店内でガス漏れが起きていたようで大爆発が起きたらしい。 幸いにもパン屋の亭主は軽いケガで済み、客として行っていたサチ1人だけが死んだ。 あたしは鼻歌まじりにベッドにもぐりこんだ。 昨日は眠れなかったけれど、今日はグッスリと眠ることができそうだ。 あたしの3つ目の願いはもう決まっていた。 誰よりも幸せになること。 最初からそう望んでいれば、自分のすべての願いが叶っていくはずだった。 誰かと付き合いたいという願いも、お金が欲しいという願いも、夢を叶えたいと言う願いも、たった1つの願いに込められていた。 「おやすみなさい」 あたしはそう呟き、部屋の電気を消したのだった。 ☆☆☆ 「アキコ、いつまで寝てるの?」 母親が部屋のドアをノックする。 「今日は全校集会がある日でしょ? 早く行かないといけないんじゃないの? アキコ?」 母親が、あたしの部屋のドアを開ける。 あたしはベッドの中にいて、返事をしない。
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加