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頭まで被っている布団をはぎ取った瞬間、母親が悲鳴をあげた。
白いあたしの顔。
生気を感じさせない体。
完全に止まっている心臓。
「アキコ! どうしたのアキコ!」
「おい、なんだ? どうかしたのか?」
「あなた! アキコが……!」
慌てふためく両親の様子をあたしはボンヤリと見つめていた。
やがて明るい光があたしを照らし出した。
「こっちよ……」
光の向こうからカオリさんの声がして、あたしの気持ちは一気に高揚して行く。
そっちに幸せが待ってるんだね?
すぐに行かなくちゃ!
あたしの望んだ最上級の幸せはすぐそこにあるんだ!
「ようこそ、安らかな死後の世界へ……」
どこからか、そんな声が聞こえた気がした……。
END
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