32人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようサチ。今日もツインテール? 少しは髪型変えればいいのに」
「う~ん。でも、髪型変わったら誰だかわからなくなりそうじゃん? あたしの顔、都庁ないし」
そう言って笑うサチ。
確かに、印象に残らないような顔をしている。
可愛くもないし、ブスでもない。
だから毎日同じ髪型をして印象に残るように頑張っているみたいだ。
「アキコはいいよねぇ、美人だから」
羨ましそうにそう言ってくるサチにあたしは苦笑いを浮かべた。
「そう?」
自分の顔なんて見飽きているから、美人だとか可愛いだとか言われても特別なにも感じない。
こんなもんか。
っていう程度だった。
「あ、2人とも~」
校門近くまで来たとき、前方からA組の尾澤スズが駆け足で近づいて来た。
ショートカットで背の低いスズはあたしたちより年下に見える。
「おはよ~」
あたしはそう言ってスズが来るまでその場で待った。
「スズ、今日数学で当てられそうなんだけど教えてくれない?」
「うん、いいよ? でもあたしも数学はそんなに得意じゃないから、期待しないでね」
最初のコメントを投稿しよう!