されど恋するアラフォー母たち

□NGのむこうがわ

さて、
ここで北村さんの話をしないと
先に進めない。

友達に勧められて訪れたギャラリーで
個展のため在廊していた北村さん。
ほぼ同い年、職業は絵描き。
声や雰囲気がなんとなく
俳優の北村有起哉さん（←超すき）
に似ている。

北村さんは主に女性のヌードを描く。
エロティックなんだけど、
それは裸だからではなくて、
裸になったモデルの人間としての奥行き、
深みを彼が炙り出してしまうのだと思う。

作品が好きなのか彼のことが好きなのか
よくわからないままSNSをフォローしあって
感想を送った。

家が近所だったのでランチに行ったら
「次作のモデルになってほしい」と言われ、
向こう見ずのわたしも
さすがにヌードは断ったのだけど
何度かデートしたし、身体の関係も持った

なんというかこう……
わたし、普段食べてるお茶漬けや
肉じゃがの美味しさを愛してるし
永遠に不滅だと思ってる、だけど
それとは別の、
満漢全席みたいなセックスだったわ

抱きしめあって体温を感じたり
癒されたりするのとは真逆の、
ただただボルテージの自己最大値が更新され続けていく感じ。

お腹いっぱい、ごっつあんです！
てなった後
それが血肉になっていくのすら気持ちよかった

で、
ここからがわたしの小物たる所以なんだけど
これ続けたら頭おかしくなるなと思ったんだな
（別におかしな薬物の類はやってないよ、
毎回アルコールすら摂取せずに臨んでた）

だって満漢全席の一時間後には
ウチの台所で甘口カレー作るような現実、
繰り返してたら大抵の人がどうにかなる。

それがすごく怖くなって
もう会いませんって言っちゃったんだわ

バカだなー。
ちゃんと頭おかしくなって
「向こう側」を見てくればよかったし
絵のモデルにもなればよかったのに！
おそらく死ぬまでなんども思い出すし
後悔し続けるし、
いつか北村さんが死んじゃったらこっそり泣くと思う。

人生一回こっきりだもんね、もう後悔したくない。

そういう意味で北村さんはわたしを変えた。