【番外編②】秋永の幸せ

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「やったね、森野さん!」  矢的に気に入られたから、という説明も嘘ではなかったけれど、半分は「どうしても」と秋永が頭を下げ、ナツコをねじ込ませた……という展開が事実だった。 「流れがキテるんだよ!」  自分が見つけて、この世界に引き込んだのだ。その容姿に見合う恩典を受けた上で、自信を身につけさせ、何としても幸せを掴んでもらいたい。  今となってみれば、それは完全に自分の思い上がりだったと……。ナツコに対して詫びなければならない、と秋永は振り返る。 *  秋永の期待通り、それ以上にナツコは活躍を見せるようになった。MCの大橋シンヤの力によるところも大きかったけれど、初回に見せた一気飲みで爪痕を残しただけでなく、ナツコの内面から放たれる美しさや人柄の良さも、世間に認められ始めた。 ーーようやく、日の目を見たか。  秋永にとって、ナツコのブレイクは喜ばしいことだった。少しずつ自信をつけていく姿に伴うように、大橋シンヤとの親密な空気が、画面を通じて醸し出されるようになったとしても。
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