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『そんなにキツちゃんのことが心配ならもう一度連れて帰ってくれても構いませんよ?』
「し、心配なんてしてないって。僕はもう保護者失格だから心配できるような立場じゃないし」
『それかウチに来てくても』
なんてことを言い出すんだこの人は。
もし行ったら仲を取り戻すことができるだろうか。いや、できるはずがない。今更なんて。虫が良すぎるにも程がある。
「遠慮しておくよ」
『ふふっ。やっぱりそう言うと思ってました』
「どう?彼女は。元気にやってる?」
『ふふふっ。やっぱり心配なんじゃないですか。そうですね、わたしの見てる限りではそんなに落ち込んでいる様子はなさそうです。この前だって学校から帰ってきたら母と料理をしてましたし、わたしにも学校で分からないところとか普通に訊いてきますし、そんなに気にしていないって感じですけど…。やっぱり心の中ではそうでもないのかなと』
さっきまで声高々だったものが初対面のときのような尻窄みを醸し出した。僕はその理由を訊いた。
『いえ、その...。わたしが貴方の話をしようとするといつも何かで誤魔化そうとしてくるんです。それに』
「それに?」
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