第十二話 言訳潰し  <小半月夜空 編>

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目の前に差し出されたのは給水ボトル。 手を伸ばそうとするとすぐに引込められる。 「ってあげるわけないでしょ。なに?そんなにわたしと間接キスしたかった?ふふっ、唇くらいならいくらだってあげるわよ。間接じゃなく直接ね」 魅惑の眼。 それは冗談なのか、本気なのか。 紛れも無く前者。 「そういう冗談は…はぁー…止めてくださいよ…ふぅーー」 「本当だらし無いわねぇ」 小半月さんは呆れた様子でベンチに座った。 僕も隣りに座る。 見上げた空は儚く透き通って見えた。 一匹のカラスが旋回している。 静かだ。静か過ぎる。 さっきまでの熱さが放れていくようだ。 少し落ち着いたから話を戻そうと隣りを見る。 ボトルを傾けながら同じ空を見上げる女性の姿がそこにあった。 それは風景とマッチし色っぽさも感じさせる。 こんな人が恋人だったらさぞかし幸せだろう。 まぁこの人には心に決めた人が居るのだから今更だ。 「で、なんだっけ?」 思い出したように口からボトルを離す。 染みた唇がどこかほんのりと濡れている。 「あの、ですね―――」
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