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それはいくらなんでも無いだろうと思いつつ走る。
走るなんていつくらいだろう。
高校生の時の体育祭振りだろうか。
先を走る小半月さんはどこか楽しげに走っていた。
まるで都合の良いジョギング仲間ができたかのように。
追い付こうとするが、その辺の大学生がジョギングウーマンに勝てるはずもない。
まぁ最初から分かってたけど。
「ほらほら、抜かしてみなさいよ」
なんて挑発もお手の物。
僕は溜息を吐き、追い付こうと足を延ばす。
しばらく走って公園に差し掛かったところで小半月さんの足が止まった。
僕は汗だくで小半月さんは汗一つとして掻いていなかった。
「どうしてその辺に居る大学生がその辺にいる主婦に勝てないのよ。おかしいでしょうが」
「はぁー…勝手に勝負を持ち込んだのは…はぁぁー…小半月さんじゃないですかぁぁぁ…」
「なにその敗者のポーズ。君、運動不足にも程があるよ?」
今は膝に手を置いて中腰のまま話すしかない。
恥ずかしい。
そりゃ最近走ったこともないんだ。
無理がある。
「さて、一から百まで聞かせてもらおうかしら」
「すいませんが…もう少し…時間を…はぁぁ」
「だらし無いわねぇ。ほら、これでも飲みなさい」
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