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「三千円になります」
そう言って、かわいい巫女姿の女の子から買った商品を受け取った。
三千円、ちと高いな、とも思うが乙女の危機はお金には代えられない。なにせ我が家にはアイツがいるのだから。
私の名前は、森沙耶、まだまだピチピチの十九歳だ。今は、亡くなった祖父母が住んでいた家で一人暮らし。もともとは両親も一緒だったけれど、半年ほど前に海外への転勤が決まり「あとよろしく」と二人仲良く行ってしまった。祖父が資産家であったため、私はフリーターだけれど、お金に困ることは全くない。そのための条件として、今、私はこの家の家主となっている。
一人暮らしではあるが、一人ぼっちではない。そうは言っても、ペットを飼っているわけではない。いや、それに近いのか。毎日供物をあげているようなものだし。平たく言えば、我が家は、一人と一柱暮らしなのである。ちなみに柱とは、神様を数える単位だそうだ。私に言わせれば、あんなもん、一個、二個で十分だ。
ガラガラガラ
「ただいま」
「おかえり〜」
東側の壁に備え付けてあるバカでかい神棚の方から声がした。
「あれ、すごくいい匂いする。神社かお寺に行ってきたの? ねえねえ、何買ってきたの」
神棚からスルスルと出てきて、私のそばに纏わりついてくるコイツ。一応、屋敷神という神様の一種らしく、私は大って呼んでいる。見た目は作務衣をきた超美形な男の子。
羨ましい?
ぜいたくだ?
ああん、欲しけりゃくれてやるわ、こんな……
「じゃあ、お風呂入ろうよ。沙耶が帰ってくるのをず〜っと待ってたんだ」
エロ神!、セクハラ神!
なんなら、あのバカでかい神棚もつけてくれてやる。
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