明後日の、その先も。

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 その日の午後。ロッカーに置いておいた体操着がなくなった。  体育の授業に出られず見学し、放課後に学校中を探し回ったら、プール横の更衣室のゴミ箱から汚れた体操着が出てきた。上履きで踏まれたのか、足型みたいなものまでついている。  家に持って帰る前に、下洗いしといたほうがいいかな。  昇降口のそばにある水道に行って、体操着を洗っていると、ぽつり、ぽつりと雨が降り始めた。  目立つ汚れは落とし終えたし……体操着をぎゅーっと固く絞って、屋根の下に避難する。  1週間前に折り畳み傘が壊されてしまったことをまだ母には話せていない。  傘がないし、本降りになる前に走って帰ろう。その前に、保健室で洗った体操服を入れるビニール袋もらわなきゃ。 「うわ、最悪。雨降ってんじゃん」  保健室に向かおうとしたとき、昇降口から出てきた男子生徒がため息を吐く。  少し不貞腐れたような顔で曇り空を見上げているのは川名で。その横顔に、ふっと私の頬に笑みが溢れた。  不思議だけれど、川名の顔を見たら、体操着を汚されて落ち込んでいた気持ちが和いだ。  声をかけてみようかな。  なんとなくそう思って一歩踏み出したとき、昇降口から駆け出してきた女子が笑顔で川名の肩をぽんっと叩いた。
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