明後日の、その先も。

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「熱っ……」  トレーに載せたお味噌汁にばかり気を取られていた私は、すっかり背後を油断していた。  背中を突き飛ばされて膝から倒れたせいで、せっかく買った唐揚げ定食が学食の床に溢れてぐちゃぐちゃになる。  ガッカリとする私の後ろで聞こえてきたのは、複数人の女子のクスクスと笑う声。振り返らなくても、彼女たち全員の顔がすぐに頭に思い浮かんだ。  手は零れたお味噌汁でベタベタ。足元にはぐちゃぐちゃになった定食。それを横目に見ながら、通行人たちが綺麗に私を避けていく。  彼らの冷たさを恨めしく思いながら、当たり前か……と、私は小さく息を漏らした。 もし私が逆の立場だったら、こんな面倒臭そうな状況見て見ぬフリをするに決まってる。  どこから片付けようか。途方に暮れていると、男子生徒の上履きが近付いてきて、ひっくり返したトレーの前でピタリと止まった。 「布巾とか、雑巾もらってきた。これで足りる?」  驚いて顔をあげた視線の先で、私に布巾を差し出していたのはクラスメートの川名だった。
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