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gaze<視線>
「それで、先輩。どういうことですか?」
怪しげに腕組みをした。まるでその質問を心待ちにしていたかのように。
でも先輩は無言でずっと眼を見詰めてきた。変な気分になってしまいそうになったから重たい口を開く。
「あの、なにか顔に付いてます?」
先輩は首を横に振った。不気味な視線だ。
「………あの」
そう切り出したはいいものの何を言えばいいか分からない。
ここで怒りに任せて先輩を追い詰めてしまってもいいかもしれない。だけど、ここはお茶屋。大きな声を出してはいけない場所。
変わらず先輩の威圧感は変わらない。
怖い。恐怖。畏怖。
その感情が出てしまえばまた逃げる方向へ走ってしまう。
それにここは茶屋だ。(以下略…)
なにがなんでも外さない気だろうか。
にらめっこ?
そう思い、見詰め返したものの先輩の眼には見詰め返す僕しか映っていなかった。時折、瞬きをしてはまた見詰めてくる。
これはいよいよ、何かやらかしてしまったかもしれない。
自分に不都合のある質問が来ると押し黙って相手を見詰め恐怖心か憤怒感か羞恥心を味合せる。
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