番*

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番*

「む、無理です、そんな、大きなものは、入りません」 「私の妃ならば入る」 「そんな」  馬鹿な、と思ったが、もうだらだらと蜜をこぼすほど濡れていたロンロの後孔は、押しあてられた王の一物をすんなりと受け入れた。 「あ……あ……あ……」  ズプズプと剛直をのみこんでいく自分の身体が信じられない。同時に、激しい愉悦に襲われる。鋼のように硬い性器にこすられる粘膜が、悲鳴をあげるように引き攣れた。 「も、もう、無理、限界、ですっ、や、や、壊れちゃう……っ」 「大丈夫だ。ほら、力を抜け。まだ広がる」 「うそ、うそ」  ロンロの下半身は、王に身体のつくりを変えられていくようだった。  どうしてだろう。運命の番だからなのか。それともオメガ犬にはそういう素質があるのだろうか。巨大なアルファの性器を受けいれられるように、ロンロの小さな孔は従順にひらいていった。 「ああ、あ……あ……は、ぁ、……っ」 「いいか? 声が甘くなってきたぞ」 「あ、は、ぃ、ぃぃ……な、なんでこんなぁ……っ」  目と口がひらきっぱなしになって、雫がこぼれる。頭がおかしくなりそうな快感だった。  王の性器が瘤を残してすべて身体に埋まると、不思議なことに、それがここにおさまるのが当たり前だったのだというような感覚にとらわれる。  自分はオメガで、本能はアルファを求めていたのだと。身体と心が満たされる。こんな充足感は、今まで誰もロンロに与えてくれなかった。  この人は、自分の、番。  運命の人。  アルファ。  唇が、感動におののく。そして限界超えの凄まじい快楽がやってくる。  ――ああ、離さないで。もう、このまま。  自分の全てが、この人のためにある気がした。この人と出会うために生まれてきたんだという確信が、心の底に生まれてくる。  ふたりはひとつ。ふたりでひとつの存在。  その閃きは、同時に背後の相手も感じたらしい。王は性器を震わせて、低くうめいた。 「私の番」  そして、ロンロの首に嵌めてあった革のベルトに噛みつく。ベルトはたやすく引き裂かれ、白い首があらわになった。  ロンロは噛まれる予感に背筋を震わせた。 「噛んでっ……お願い」  首が熱を持ち、痛みを待ち望んでいる。俯いてうなじを差し出すと、汗ばんだその場所に王が犬歯を食いこませた。 「――ああっ」  瞬間、ロンロは未曾有の快感に高く叫んだ。閃光のような絶頂が全身を包みこむ。目の前がチカチカして、意識が遠くに飛んだ。  死ぬんじゃないかと思った。あまりにも強烈すぎて。   「ああ、あぁ……、あぁ……」  ガクガクと四肢を震わせると、王が抽挿を開始する。そうなるともう何も考えられなくなった。 「どうだ、苦しくはないだろう」 「あ、はぁ、あ、……」  返事などできない。 「お前はもう、私だけのものだ」  濡れた音をたてて、何度も、何度も抜き差しされる。  「誰にも奪わせない」  噛みついた肌に舌をあてて、熱い吐息をもらす。 「誰がなんと言おうと、お前は私の妃だ」  そして一層激しく腰を使い、ロンロの奥で、熱い雫を弾かせた。 「……ああ、ん、んんんッ……」  背をしならせて、ロンロもまた逐情する。王は煌めく毛皮を欲情に波打たせて、さらに奥まで剛直をねじこんだ。  三日三晩、王は地下室でロンロを蹂躙した。眠りもせず、食事も取らず。ただひたすら細い身体を犯し続けた。  四日目の朝、王は気絶したロンロを背中に乗せて、やっと地下室から出てきた。  そのころには王の毒のようなフェロモンもおさまり、街の犬族オメガは長い苦しみから解放されて、安堵の息をついていた。 
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