第1話 人探し

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手始めに、街のバーを手当り次第当たることにした。 「もしかしたら目撃情報が浮上するかもしれない。」 「さっすが冬馬だね。でも冊子を見せて、顔わかるかな?サングラスしてるし、顔出してる写真なかったのかな?」 冊子をめくりながら冬馬がつぶやく。 「相当なやり手だ。今日は帰れないと思えよ。」 「ひーこっわ。」 わざと肩を震わせる実を冬馬は鼻で笑う。 1件目に、街のど真ん中にあるバーに入る。 マスターに聞き込みをする。 「すまないマスター。この顔を見た事がないか?」 マスターが冊子に載っている人物を見る。 「…さぁ。見たことないねぇ。」 そう言うと、マスターは冬馬に冊子を返す。 「そうか…やっぱり駄目か。」 少しガッカリした感じで実が肩を落とす。 「もう帰っちゃったんじゃない?依頼もわかんないしさぁ。あっ、マスターいつもの。」 そう言いながら、カウンターに座る。 「おい、何自然に注文してるんだ。」 「えー、だって3日あるんだよ?今日はもう夜遅いし、いいじゃん。それに、待ち伏せって形でさ。」 「お前の悪知恵はどうにかならないものか。」 冬馬は頭を押さえ、ため息をつく。 立っていても仕方が無いので、とりあえず実の横に座ることにした。 「マスター、いつもの。」 ここでリーラを待ち伏せすることにした。 相変わらず店内は賑わっていた。 タバコの煙が充満し、アルコールの匂いが漂う。 注文した酒を飲み、冊子をめくる。 「こうして、とどまっているのも時間の無駄だが、しょうがない。作戦会議の時間に使わせてもらおう。」 「冬馬は真面目だなー。」 冊子を広げ、冬馬と実はこれからの作戦会議を行った。 それからしばらく待ったが、黒髪の青年が入って来たくらいで、成果はなかった。
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