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手始めに、街のバーを手当り次第当たることにした。
「もしかしたら目撃情報が浮上するかもしれない。」
「さっすが冬馬だね。でも冊子を見せて、顔わかるかな?サングラスしてるし、顔出してる写真なかったのかな?」
冊子をめくりながら冬馬がつぶやく。
「相当なやり手だ。今日は帰れないと思えよ。」
「ひーこっわ。」
わざと肩を震わせる実を冬馬は鼻で笑う。
1件目に、街のど真ん中にあるバーに入る。
マスターに聞き込みをする。
「すまないマスター。この顔を見た事がないか?」
マスターが冊子に載っている人物を見る。
「…さぁ。見たことないねぇ。」
そう言うと、マスターは冬馬に冊子を返す。
「そうか…やっぱり駄目か。」
少しガッカリした感じで実が肩を落とす。
「もう帰っちゃったんじゃない?依頼もわかんないしさぁ。あっ、マスターいつもの。」
そう言いながら、カウンターに座る。
「おい、何自然に注文してるんだ。」
「えー、だって3日あるんだよ?今日はもう夜遅いし、いいじゃん。それに、待ち伏せって形でさ。」
「お前の悪知恵はどうにかならないものか。」
冬馬は頭を押さえ、ため息をつく。
立っていても仕方が無いので、とりあえず実の横に座ることにした。
「マスター、いつもの。」
ここでリーラを待ち伏せすることにした。
相変わらず店内は賑わっていた。
タバコの煙が充満し、アルコールの匂いが漂う。
注文した酒を飲み、冊子をめくる。
「こうして、とどまっているのも時間の無駄だが、しょうがない。作戦会議の時間に使わせてもらおう。」
「冬馬は真面目だなー。」
冊子を広げ、冬馬と実はこれからの作戦会議を行った。
それからしばらく待ったが、黒髪の青年が入って来たくらいで、成果はなかった。
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