第2話 殺さない殺し屋

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ホテルを回り、やっと最後の21件目となった。 だが、そこは 「ここ…ラブ」 「行くぞ。」 ホテルのドアが開く。 「なんか…冬馬と行くと変な気分。」 「うるさいぞ。黙れ。」 ホテルマンに写真を見せる。 「すまない。この人物を…」 「あぁ、この方のお連れ様ですね。」 「「へ?」」 冬馬と実は何を言われたのか一瞬わからなかった。 ホテルマンが続ける。 「この方が、自分を訪ねてくる二人の男がいたら手紙を渡してくれと。」 「手紙?」 ホテルマンは引き出しから手紙を取りだし、手紙を渡す。 「彼、あーいや、彼女?悲しんでましたよ。先程チェックアウトされたんです。今日は来てくれると思ったのにって。」 手紙を開ける前に冬馬が聞く。 「この人物はいつからこのホテルに?」 「えーっと、確か3日ほど前から。こちらとしては、お金を払ってもらっているので、なんとも言えなくて。」 「ありがとう。」 ホテルを後にする冬馬と実。 ホテルから少し離れたところで、手紙を広げる。 冬馬が広げた手紙を実が覗き込む。 その手紙には赤色の文字で 「やっと会えた♡」 一文そう書かれていた。実が身を震わせながら 「まるでストーカーだね。」 そう呟く。 「しかし、もうチェックアウトしたんだ。次はどう探すか。」 「ねぇ、今日はもう部屋に戻らない?もうチェックアウトしたなら、この近くにはいないでしょ?」 「しかし、明日までに探さなければ。」 悩んでいると、手紙の裏にまだ小さな文字で何か書いてあった。 「君の家の前で待ってるね♡」 これもまたストーカーのようだ。 だが、その意味を考えた。 実は 「そのまんまの意味でしょ。とりあえず帰ってみようよ。」 手紙をポケットに入れ、ビルに向かった。 天神商会の本部が入っているビルの入口に、 大きな黒いバックを持ったフードを被った人物が、建物を見つめていた。 「あれ、御新規さんかな?美人さんだったらどうしよう。声掛けちゃおっかなぁー。」 しかし、なにか引っかかった冬馬は 「やめろ。それに、あの無駄にでかいバック。」 建物を眺めていた人物がこちらに振り返った。 振り返ると同時に強い風が吹き、フードが取れ、桃色の髪が月明かりに照らされる。 こんな真夜中でもサングラスをかけ、 こちらを見ていた。 リーラだ。 冬馬は警戒した。 腰に着けていた拳銃を確認し、実を見る。 「はえー。本当にピンクだ。」 と、緊張感なく呟く実を呆れてみていると、 リーラがこちらに近づいてくる。 「おい実。拳銃。いつでも出せるようにしとけよ。」 「ぅあっ、そっか。」 実も拳銃を確認するが、 「あっ、あれ?」 実が戸惑っている。 「どうした。相変わらず緊張感がないな。」 「ない!オレの拳銃がない!」 「はぁ!?」 などと会話をしている間もリーラはゆっくりと近づいてくる。 「お前、見つかったら完全に銃刀法違反だろ。」 「えー、それ今更言う!?でもでも、一般人が間違って使っちゃったら、怪我人どころじゃないよね!」 「あーもう。お前は相変わらず…」 冬馬は実に気を取られ、リーラが身の前まで来ていることに気づかなかった。 「…!」 気づいた時にはもう目の前にいた。 「しまった…」 沈黙が続く。 警戒した空気の中、リーラが口を開いた。 「アタシに用があるんでしょ?ついて行ってあげるから案内しなさい。」 傲慢な言い方に冬馬は警戒を解かなかった。 「なら、その鞄は置いて行ってもらおう。実。」 「オ、オレ?まぁ、いいけど。」 実が鞄を渡すように促す。 リーラが渋々カバンを渡す。 「大事に扱ってよ?アタシの命くらいの価値があるんだから。」 実は重そうに鞄を持ち、冬馬に目で合図した。 「着いてこい。」 そう言うと、冬馬はビルの裏口に入った。
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