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「定期演奏会っていつだ?」
「明日選考会があって、明後日にはもう本番です」
「え、そんなタイトなスケジュールなのかよ」
綴が驚く。豊が弾く順番も当日のお楽しみと言っていたが、実際プログラムを作る時間もないのだろう。それを目玉にしているのはいいアイディアとも言えるが。
「それって誰でも観にい行けんの?」
「はい、時計坂の音楽ホールで毎回やってて出入りは自由です。入場料もないです、学生の演奏なんで」
「…ふうん」
つってもクラシック分かんねえからなあと綴が煙草に火を点けた。
「今回弾くのは割と有名な曲だから聴けば知ってるかもしれませんね」
「誰の曲?」
「ショパンです」
唇に煙草を運ぶ綴の手を奏司が目で追う。
「…何?さっきから俺の手ガン見してね?」
気付いて綴が訝しそうな顔をした。
「ああはい、萌え袖が可愛いなと思って」
「なっ…!」
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