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素直な感想を、素直にぶつけてきた奏司に不意をつかれて綴の顔が赤くなる。
「バッ…お前、お、男に可愛いとか言うな!」
「え、でもめちゃくちゃ可愛い…」
綴がペケッと奏司の頭を軽くはたく。大きめのTシャツの袖が指の辺りまで来ていたことに気付いて綴は腕まくりをする。
「通常運転再会、もう心配ねえなお前!」
言いながらラーメンのカップを取るとキッチンに向かった。
「えー、袖おろして下さいよ可愛いのに」
まだ言うか!と綴が振り返り、
「洗い物すんだよ!」
と睨んだ。やりましょうかと言う奏司を制して水道を捻る。スポンジを泡立てながら、綴は少し安心していた。豊が自分に託した役目は、多分こういうことだったのだと思う。少しでもいつもの奏司が戻って来ればそれでいい。
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