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「時計坂学園音楽科三年、ピアノ専攻、佑木奏司です!」  奏司が大きく息を吸う。 「俺とバンド組んでください!」  いきなり告げられた、その路地中に響く声に、内容に、綴が足を止める。 「…あ?」  ゆっくり振り向くその目はこの上なく冷ややかだ。 「あなたが好きです!」 e3d7e85f-5391-4fb8-8048-82d5f7b77f86  その言葉に更に細く冷たくなる綴の目。ただ後ろでいる発と豊だけがキャーキャー叫んでいる。 「あなたの歌が好きなんです」  綴は一度煙草を思い切り吸った。そして、 「そういう寝言は寝てからも言うな」  煙と一緒に吐き捨てるように言って背中を向けて歩き出した。
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