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「軽音楽部ってどこですか?」 「軽音?ああ音楽系はもっと奥だよ」  この分岐路から更に奥に真っ直ぐ延びた道の方を男が指差す。 「軽音の誰?俺割と知り合いいるよ」 「ホントですか?!」  奏司の顔が明るくなる。 「藤音綴って人なんですけど」 「なに藤音?知ってるよ。俺同じ学年で一般科目一緒だったから」  神様が味方している!  奏司は本気でそう思って目を輝かせた。 「あいつファン多いなあ、ホント。時計坂の音楽科にまでいるって幅広いわー」  感心したような、そうでもないような微妙な声音で笑う。 「ファン多いんですか?」 「まあ顔がいいからなあ藤音。何かアイドル事務所にスカウトされたとか噂もあるし」  でもあの口の悪さじゃアイドルは無理じゃん?と言って男が笑う。  奏司は綴の姿を思い出す。もちろん奏司にとっては彼の声が一番なのだが、ステージで観た時も、GENEの入り口で会った時も、細身の綺麗な立ち姿で、勝手に目が引かれてしまう天性のカリスマタイプだと思う。  特にあの、刺すような目力。 「この前はメイドの格好した可愛い女子が…」  メイド!!!  思わぬワードに奏司は思わず男を見上げた。男が苦笑する。
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